落雷時に光る球体「球電光」の謎を解明するかもしれない量子物体「シャンカール・スキルミオン」

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 科学者は極低温の量子物体の磁場を複雑な結び目に結合させた。その結果、ついに数世紀越しの謎が解明されたかもしれない。

 それは「球電光」の謎だ。

 球電光は雷雨の時、時々大気中を漂う明るい光を放つ球のことで、昔から目撃され、UFOと関連付けて考えられていた。

シャンカール・スキルミオンという量子物体

 この奇妙な結び目は「シャンカール・スキルミオン(Shankar skyrmion)」という量子物体で、1977年に理論化されたものであるが、それ以来実験室で発生させることに成功した者はいなかった。

 スキルミオンとは周回する磁場が密集したもので、それが描く円は、他の円を正確に一度だけ交差する、と『Science Advances』には説明されている。

 1つのキーホルダーを別のキーホルダーに引っ掛けたときどうなるか考えてみよう。それから、そこにまた別のキーホルダーを今あるキーホルダー全てに引っ掛けるようにどんどん足していく。それがスキルミオンの磁場の姿だ――キーホルダーを破壊しなければ、引っ張って外すことはできない。

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image credit:Science Advances/Creative Commons

 しかしスキルミオンは重要な点においてキーホルダーとは異なる。捻れているのだ。互いに組み合った磁気のラインは、経路を二度曲げる。これに沿って、ミクロの原子探索船を飛ばしたら、途中で錐揉み回転を二度することになる。

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image credit:Science Advances/Creative Commons

実験的に作り出されたスキルミオン

 今回、フィンランドのアールト大学とマサチューセッツ州のアマースト大学の物理学者は、原子の雲を極低温で冷却し、「ボース=アインシュタイン凝縮」という状態になった高密度の塊からスキルミオンを作り出した。

 この絶対零度付近で出現する状態は、原子が混然一体となる境界にあり、人間にも観測が容易なスケールで量子効果が発生する。

 量子磁石のエキゾチック類を作るために開発された技法を用いて、研究チームは凝集の中で原子のスピン(磁気の方向)を起こし、相互に組み合ったスキルミオンの輪を生じさせた。


Квантовые шаровые молнии, созданные физиками из Финляндии

スキルミオンは球電光のモデルである可能性

 ここからスキルミオンは球電光のモデルである可能性が明らかになった。

 球電光は、雷雨の最中にカラフルに光る球が出現するという、珍しく、ほとんど理解されていない気象現象だ。それは空中を滑るように移動し、一般的な稲妻よりもずっと長持ちする。


コロラド州ボールダーの山で発生した球電光 Ball Lightning Weather Phenomenon

 1996年、『Nature』に掲載された論文で、球電光は曲がって結び目となった稲妻のプラズマ周囲に磁場が生じ、それが内部に捕らえられた結果ではないかという仮説と、結び目となった場のモデルが提唱された。

 研究チームによると、冷たい小さなスキルミオン周囲で観察された場は、論文で提唱されたモデルに一致したという。このことは、球電光が自然発生した巨大なスキルミオンである可能性を示唆している。

References:livescience / sputniknews/ written by hiroching / edited by parumo
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