我々の思考はウイルスに操られている?ヒトの意識には古代のウイルスが関係しているという研究結果

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 我々人間の脳には古代のウイルスが紛れ込んでいた。そして、それは人間の意識的思考の根幹に介在しているという。

古代ウイルスが遺伝情報を動物のゲノムに結び付けた

 『Cell』に掲載された2本の論文によれば、大昔にあるウイルスがその遺伝情報を4本足動物のゲノムに結びつけたという。

 情報の断片は今もなお人間の脳の中で生きており、遺伝情報をパッケージ化し、ウイルスそっくりな小さなカプセルの中に収めた情報を神経細胞から周囲に送り届けるというきわめてウイルス的な作業を行なっている。

 そして、この情報のパッケージは、神経がコミュニケーションを行い、再編成するという、高度な思考に欠かせないと考えられている作業において決定的な要素かもしれない。

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ウイルスは遺伝子の寄生虫

 人間の遺伝情報の一部がウイルスに由来すると聞いて驚く人もいるだろうが、それは意外なほど一般的なことだ。

 2010年の大阪大学の研究などで、人類の祖先が4000万年以上前に感染したとみられるウイルス遺伝子の一部が取り込まれいることがわかっている。また、2016年の論文によれば、ヒトゲノムの40〜80パーセントが大昔のウイルスの侵入によって獲得されたものだ。

 ウイルスがバクテリアと違って単に人体内で家を作ろうと企むだけの存在ではない。ウイルスとは遺伝子の寄生虫である。

 彼らは遺伝情報を宿主の細胞に注入して乗っ取っては、己のために利用する。典型的なものとして、ウイルスを作成するための工場にする。

 この過程は大抵は宿主に無益か有害なものだ。だがごく稀に注入された遺伝子が良性だったり、それどころか有益だったりすることがある。

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 また、2016年の論文では、ウイルス性の遺伝子が免疫系や胚発達の最初の数日において重要な役割を果たしているらしいことを発見したとある。

 最新論文ではさらに一歩進んで、古代ウイルスが人間や動物の脳細胞で健在であるばかりか、我々が知る思考というプロセスはそれがなければ生じなかったであろうほど重要であるらしいと論じている。

人間の思考は古代ウイルスが関係している?ウイルス由来の「Arc遺伝子」

 研究から判明したのは、シナプス(神経細胞同士のつなぎ目)が発火して間もなく、「Arc」というウイルス由来遺伝子が目覚め、「RNA」というモバイル型情報として指示を書き記すということだ。

 RNAは細胞核の外の世界におけるDNAのメッセンジャーであり、代理人だ。DNAの二重らせんの情報コピーであり、それが役立つ場所に配置されるように遺伝子の指示を携えている。面白いことに、ウイルスは自身の遺伝情報をDNAではなくRNAに保持する傾向がある。

 Arc RNAの指示に従い、神経細胞は「カプシド」というウイルスのようなエンベロープをその周囲に構築する。そして、RNAはエンベロープのおかげで細胞間を安全に移動できるようになる――隣の神経細胞に進入し、遺伝情報のパケットを伝えるのだ。

 その情報が新しい細胞に到着した時の役割は不明だが、研究では、このプロセスが適切に機能しない限り、シナプスの発火は消えてしまうことが明らかになっている。またArc遺伝子に問題があった場合、自閉症などの症状として現れる傾向にある。

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 妙なことに、Arc遺伝子がウイルスから動物に宿ったのは一度だけではないらしい。人間や他の4本足の動物が持つArc遺伝子は互いに密接に関連しているようだ。一方、ミバエと蠕虫のそれは別々に獲得されたようなのだ。

References:ncbi / ncbi / foxnews / theantimedia/ written by hiroching / edited by parumo
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