我々は今、世界の終焉を生きているのか?専門家に聞いてみた

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 地球史上6回目の大量絶滅に入っているとか、第三次世界大戦が勃発するとか、小惑星が衝突するとか、疫病だとか気候変動だとか宇宙人の侵略だとか、とにかく世界は終焉を迎えようとしているというストーリーにはことかかない。

 毎年、毎月のようにいくつもの終末の予言が繰り返されている。それは悲哀に満ちた響きで、ある種のロマンティシズムすら感じる思想でもある。

 そして今年1月26日、地球最後の日までの残り時間を概念的に示す「世界終末時計」が30秒進められ、残り2分半となった。

 VICE誌では、各分野の専門家たちに、我々は今、世界の終焉を生きているのかどうかについてのインタビューを行っていた。

環境破壊と人口増加から見る世界の終焉

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リチャード・ジュラフスキ氏:気象学者、教授、CTV系『Wonder Why?』の元司会者、カナダ・ノバスコシア州ハリファックス市市議

貧富の格差がもたらす超資本主義
 環境破壊と人口増加に対して持続可能性問題に取り組まねばならない。人口増加の大半は非西洋世界で起きている。

 西洋世界では人口増加は問題ではないが、世界の富裕層の上位10パーセントを独占している。西洋資本主義社会では人口こそ増加していないものの、消費は増加している。

 ヨーロッパならびに日本と先進諸国の一部を含む西洋における消費は、それらが世界に占める人口の割合を超えるもので、我々の首を急激に締めている。

 そして、これはネオリベラル主義政策と貧富の格差がもたらす超資本主義(hyper-capitalism)によって一層進んでいる。
 
 資本主義と超資本主義と消費は、経済の健全性を保つ上で不可欠だ。ゆえに他の地域への影響は無視する。SUVを買い続け、豪邸に住み、今後50年の生存に貢献しているとでもいうかのように些細な暮らし方の変化について語る。実際はそうではないのだが。

 その影響はそこかしこに見ることができる。海を漂うプラスチックや二酸化炭素の増加はただ聞き覚えがあるだけでなく、実際に世界中で氷河が溶け、北極や南極が急速に分解しつつある。

 今ある文明は今後50年で終わりを迎えるだろうし、我々は自ら絶滅を押し進めている。この類の文明は今後20年で終わり、自給自足生活に移行する。今後20年で環境破壊を止めねば、2040年に何をしようと無駄だ。

 数十年後の文明は今とは違ったものになり、我々は自ら絶滅を押し進めているとはどいうことか? 絶滅する前に何が起きるのか?

人類が絶滅する前に起きること
 まず富裕層はそうでない人が入れない特区を作り出す。つまり「問題ない。貧乏人が入ってこれないよう壁を作ればいいさ。そこでお金とインフラを使って今までのような贅沢な暮らしを続けるんだ」ということだ。

 だが、そうしたインフラはすぐに崩壊する。まずダメになるのが電力供給システムだ。電気がなければ、何もかも動かない。社会が崩壊し、資源を巡って争い始める。問題から目を逸らさせるために軍事行動が起き、これまで以上に両極化する。

 電気がなく狩猟採取生活を強いられるとなれば、我々には生きていく術がない。野生動物は激減してしまった。もはや80億の人口を支えることはできない。自治体も国の政府もなくなるだろう。すべては崩壊する。

 つまり巨大噴火のような大災害で一掃されるというよりも、ゆっくりと死に近づくと。食べ物がないせいで、人間同士が共食いすることもあるだろうか?

 共食いについては分からない。だが資源が不足することは確かだ。怪我をしたから病院に行っても、抗生物質など手に入らない。それどころか病院もないだろう。

 歴史上、大帝国がいくつか興ったが、いずれも崩壊した。最も有名なのはローマ帝国だが、その最後は哀れなものだ。

 力を失くし、後には荒廃と戦争が残された。今の帝国はアメリカだ。その帝国はあらゆる地に戦争を作り出している。今が時代の変わり目のように思えるが、それでもなおそこから目を逸らすための紛争が起きている。

 西洋社会が終わりを迎えようとしており、それから間もなく今の状態の人類も終わるとジュラフスキ氏は考えているようだ。

現在の世界情勢から見る世界の終焉

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クリス・マドセン博士:防衛研究科教授、所属:カナダ王立軍事大学

現時点で核戦争の脅威はあまりない
 現時点では、比較的平和な状態にある。大戦争や核戦争の脅威は小さい。むしろ各国の軍隊はその予算や人員確保を正当化することに苦心している。

 現在の紛争はかなり局地的で、ほとんどが国家ではない主体によるものだ。中東などの紛争は低レベルのものである。

 中国は主要な貿易相手だし、ロシアは表立った戦争よりも謀略を好む。核兵器は使用されたとしてもかなり局地的なものだろうし、使用すれば直ちに世界中から非難される。

 したがって予測可能な未来においては、比較的平和な状態が続くだろう。軍はこの類のメッセージが嫌いで、危機を手放そうとはしないが。

環境破壊と疫病の流行
 私の意見では、現在世界が直面している大きな危機は環境破壊と世界的な疫病の流行だ。どちらも人口と資源消費の増加に関連する。

 我々はゆっくりと、あるいは一部によれば急速に、自分たちが暮らす生態系を毒し、破壊している。地球はそこに人間がいようがいまいが気にもしないだろうが、我々は自らの手で惑星を住めないものにしている。救われる道は、もっと環境に意識を向けるか、地球の外に新天地を求めるしかないのだろう。

 人類がいなくなり2万年もすれば、地球は元の状態に戻るかもしれない。終わりといっても人類にとってのということだ。それでも地球は回る。恐竜の時と同じだ。

地球外に起因する世界の終焉

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J・D・ハリントン氏:公共問題担当者、NASA所属

 現時点ではこの問題に答えられない。惑星保護官の任務は、地球の生命による汚染から太陽系の天体を守ることと、太陽系天体から持ち込まれる恐れがある生命体から地球を守ることだ。

 NASAや世界の宇宙関連機関は、将来的なサンプル回収ミッションによる意図せぬ汚染から我々を守るために日夜励んでいる。

軍事情勢や核兵器・大量破壊兵器に起因する世界の終焉

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エリック・ウェレット博士:防衛研究科教授、カナダ王立軍事大学

大国のパワーバランスが保たれているので世界戦争は考えられない
 50年前や100年前と比べて、世界の終わりに近づいたとは思わない。大国間ではパワーバランスが保たれている。大国が核兵器を有しているがゆえに、互いに攻撃を仕掛けるような事態は防がれている。その点から言えば、状況は大きく変化していない。

 第二次世界大戦以降、パワーバランスは若干変化したが、それでも相変わらず均衡している。北朝鮮のような国家を指摘する人もいるだろうが、実際の彼らは評判よりもずっと規律がとれている。5年前に比べれば、多少リスクが上がったろうが、深淵を覗き込むような事態ではない。

 大量破壊兵器に対する懸念もあるが、さまざまな技術的問題があり、その使用は難しい。でなければ、もっと頻繁に使用されていた可能性はある。

 だが数百万人という単位の犠牲者が出るような破壊を前提とした場合、そうした兵器の使用は複雑すぎる。以上の理由から、軍事的な面では世界の終わりに近づいているとは思わない。

100年あるいは150年後の状態は?
 全体的な力という点で、西洋諸国はゆっくりと衰退してきた。それは第一次世界大戦が切っ掛けだったと思う。

 100年後、150年後の技術について答えることは難しいが、力を失ったゆえに西洋諸国ではもっと紛争が増えているのではないだろうか。悲しいことだが、力があったがゆえの平穏でもあったのだ。

 だが絶対に大丈夫といったことはないが、現実的に破滅的な戦争が起きるとは考えにくい。

人類のゾンビ化による終焉は?

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ジェームズ・トンプソン:作家、『ライズ・オブ・ザ・マッドメン』の著者

 確かなことは言えないが、あるかもしれない。我々は自然についてほとんど分かっていないし、自然にどんな影響を与えているのかすらも知らない。生物兵器や化学兵器は予期せぬ副作用をもたらすだろう。

 あるいは遺伝子操作やスーパーウイルス開発の過程で、ゾンビのようなものが誕生する可能性は極めて高い。

 墓場から蘇ったり、生きている者の脳を貪ったりせずとも、狂犬病のようなものによって、人間が暴力的な衝動を抑えられなくなるような事態は想像に難くない。

 だが、それを知ってさえいれば治療も容易だ。何かの間違いが起きた時――それはゾンビが襲来する時なのだが――過去200年でとんでもない疫病が大流行してきた。ささいな過ちのせいで大勢が死んできたのだ。

/ written by hiroching / edited by parumo
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