アインシュタインの相対性理論は、星間宇宙旅行が不可能であることを示唆しているわけではない。

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 「あらゆるものは、光より早く動くことはできない」とは、アルバート・アインシュタインは相対性理論でそう説明している。

 では星間宇宙旅行が不可能ということなのか?

 実は逆である。相対性理論は星間旅行の実現を手助けしてくれるのだ。少なくとも人間の寿命の範囲においてはそうだ。

加速による重力に耐えられない体

 その理由は加速だ。

 人間はかなり脆弱な生き物で、極端な加速に耐えられない。加速によって、人体に長時間1G以上がかかると、さまざまな健康問題が生じる。それが10Gにもなれば、即座に失神し、死亡する。

 どこかへ行くには、まず移動速度まで加速して、それから減速せねばならない。仮に我々が1.5Gしか長時間耐えられないのだとすれば、非相対論的ニュートン学派の世界においては大問題となる。

 目的地に行くまで我々の寿命が保たないのだ。これを克服するにはさらに加速するしかない。したがってロボットなど、人体のようなデリケートな水袋よりも頑丈なものを送らねばならない。

相対性理論がその手助けをしてくれる

 ところが相対性理論がその手助けをしてくれる。

 光速に近づけば、宇宙船で流れる時間は遅くなり、ニュートン学派的宇宙のそれよりも(宇宙船の中では)ずっと早く目的地に到達できるようになる(宇宙船の乗員の視点からは、距離が縮まって感じられる。その効果は同じで、ずっと早く到着する)。

 以下は、先ほどの人体が1.5Gまでの加速なら耐えらえるという仮定に基づいて作成した表だ。道筋の半分をその割合で加速し、残り半分をその割合で減速した場合に目的地に到着するまでの年月を示してある。

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目的地が遠いほど大きな恩恵がもたらされる

 目的地が50光年離れた場所になると、相対性が大きな恩恵をもたらすことが分かるだろう。さらに1000光年を超えると、我々が生きている間に目的地に到着できるのは相対性があってこそのことである。

 この表にはないが、さらに遠い距離まで考察するなら、相対性の効果のおかげで、実に目で見ることのできる宇宙の隅々(約470億光年)まで生きているうちに(約28年)たどり着くことができる。

 つまり相対性を利用すれば、我々はどこでも好きな場所に行けそうだということだ。

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だが実現するには2つの問題が

 だがしかし、そうは問屋が卸さない。2つ問題がある。

 まず、相対性の効果は旅行者にしか得られない。地球時間ではずっと早く時間が経過している(大雑把に言うと、帰還までの地球時間の年数は、表内の光年数を2倍して、0.25を加える)。つまり彼らが地球に帰還すると数千年が経過していることになる。

 したがって、たとえ調査隊を派遣したとしても、地球に残る者たちがその成果を知ることは決してない。が、宇宙旅行のついでに、時間旅行までしたいという人なら構わないのかもしれない。

 2つ目の問題は、より直接的・実践的な問題だ。相対性の効果を得られるまで加速するには、文字通り天文学的なエネルギーを要する。仮にかに星雲へ向かうとすれば、宇宙船1キログラムあたり7×1020ジュールの運動エネルギーが必要になる。
 
 膨大なエネルギー量ではあるが、手にすることは可能だ。太陽の出力は3 × 1026ワットである。したがって理論上は宇宙船を必要な速度まで加速させるには、太陽エネルギー数秒分で事足りる。

 なお、ここではこうしたエネルギーを質量を増大させることなく宇宙船の加速力に転換できると仮定している(例えば、レーザーの利用など)。

 もし宇宙船に化学燃料あるいは物質/反物質燃料を搭載し、それもまた加速させねばならないのだとすれば、”ロケット公式の暴君”に直面して、お手上げとなる。燃料を搭載するために、さらに何桁も多くの燃料が必要になるからだ。

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 だが、これらは楽しい技術的課題だろう。光速まで加速できさえすれば、星間旅行を試みる我々を相対性が助けてくれる。直感には反するが、本当のことだ。

References:quora/ translated by hiroching / edited by parumo
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