人工知能ロボットは意識を宿すのか?それは人間や動物が持つ意識と同じものなのだろうか?米研究者の考察

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 最近報じられている人工知能(AI)の進歩は目覚ましいものがある。AIが人類にとって吉となるか、凶となるか、今の段階では両論ある。

 だが確実に、人工知能が自己と周囲を認識し、膨大な量のデータをリアルタイムで処理可能になるというブレークスルーがもうすぐ起きる。

 多くの科学者たちは、AIがすぐに意識を宿すと考えている。
 AIの意識とはどういったものなのか?
 また、意識を宿したAIと人間はどう向き合っていけばよいのだろう?

 アメリカ・オクラホマ州立大学の電気およびコンピューター工学の教授であるスバシュ・カク博士は、科学・物理・哲学、量子理論など、様々な角度から人工知能(AI)の意識についてを考察している。

意識を宿したAIの台頭に伴う問題点

 AIロボットは、あらゆる作業において人間に取って代わることができるマシンである。人類をつらい労働から救ってくれるだろうが、多くの社会的基盤を揺るがすことにもなる可能性もある。働く必要がなく、遊んでいればいい生活はやがてディストピアを生み出すかもしれない。
 
 意識を宿したAIは法的・倫理的問題も生じさせる。既にサウジアラビアではAIロボットに市民権を与えたが、はたして意識を宿した機械を法の下で”人”として扱い、その違法行為に対して法的責任を負わせるべきであろうか?

 もっとも恐ろしい可能性として、機械が人類に反逆し、我々を駆逐しようと企てることも考えられる。そうなれば、彼らが進化の頂点に君臨するということになる。

 カク博士によると、反逆的なAIが登場する可能性について、研究者でも意見が二分されていると言う。

 また機械が宿す意識について、それが人間や動物が持つ意識と同じと言えるかどうかについても議論があるという。

 これらの疑問には、科学技術に関連するものと、意識の本質に関連するものの両方がある。

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AIの意識についての定義

 ほとんどのコンピューター科学者は、意識についてテクノロジーの進歩とともに現れる特徴であると考えている。

 意識とは、新しい情報の受信、古い情報の保存・取り出し、それらを統合して認識や行動に変換する認知処理を含むものであるという意見がある。もしこれが正しければ、いつの日か機械は究極の意識を宿すことになるだろう。

 それは人間よりもたくさんの情報を収集し、図書館を超える情報を保管し、ミリ秒単位で膨大なデータベースにアクセスし、それに基づいて人間などおよびもつかぬほど複雑かつ論理的な意思決定を行う。

 一方で、物理学者や哲学者からは、人間の行動には機械では計算できない何がしかがあると主張されることもある。例えば、創造性や自由という感覚だ。これはロジックや計算からは導けなさそうなものだ。

 だが、これらは意識の本質や、機械がそれを宿せるかについて唯一の見方ではない。

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量子理論的なAIの意識についての見解

 量子理論の立場からも意識について説明が試みられている。

 オーソドックスなコペンハーゲン解釈によれば、意識と物理世界は同じ現実の補完的な側面である。

 ある人が観察や実験をした時、その人の意識的相互作用は認識可能な変化を引き起こす。それは前提として意識の形を取るもので、それを物理特性から導き出そうとは一切されていない。ゆえにコペンハーゲン解釈は”広義の意識(big-C)”的見解とでも言えるかもしれない。それは現実化するために脳を必要としているが、それ自体で存在するものである。

 この見解はニールス・ボーア、ヴェルナー・ハイゼンベルク、エルヴィン・シュレーディンガーら量子力学の先駆者たちの間で人気があった。

 意識と物質との相互作用は、80年間未解決のまま残されているパラドックスを生じさせる。有名なものの1つにシュレーディンガーの猫がある。それは生と死の確率が同等である状況に置かれた猫の運命は、観察という行為によって決定するというものだ。

 それと反対の見解が、意識は生体構造から生じるというものだ。それは化学的作用から生体構造が生じるのと同じことだ。同様にその化学的作用も物理から生じている。

 この意識のことを”狭義の意識(little-C)”と呼ぶことにする。

 こちらについては、心のプロセスとはつまり脳の状態やプロセスのことであるという神経科学者らの見解と合致する。さらにパラッドックスの解消を試みようとする量子論のより最近の解釈「多世界解釈」とも合致する。
 

 科学をテーマとする哲学者は、こうした量子力学の最近の見解が古代哲学に似ていると考えている。

 広義の意識は、ヒンドゥー教ヴェーダーンタ学派の理論のようだ。それによれば、意識は現実の基礎であり、物理宇宙と同等である。一方、狭義の意識は仏教の教えとよく似ている。仏陀は意識の性質について言及していないが、その弟子たちが心と意識は空から生じると唱えた。

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広義の意識と科学的発見

 科学者は意識が常に計算プロセスであるのかどうかについても答えを求めている。

 一説によると、クリエイティブな瞬間は計画的な計算の結果ではないという。例えば、夢やビジョンなるものが与えたインスピレーションが、1845年のエリアス・ハウによるミシンの発明や、1862年のアウグスト・ケクレによるベンゼン構造の発見につながった。

 広義の意識をまさに体現していたのが、インドの数学者シュリニヴァーサ・ラマヌジャンだ。50年振りに発見され1988年になってようやく出版された彼のノートには、数千もの公式が記載されており、いずれも当時のずっと先を行くものだった。
 
 しかし彼がそれを発見した手法は謎めいている。彼によると、公式は眠っている間に女神によって明かされたのだという。

 広義の意識の概念からは、それと物質との関係、さらに物質と精神が相互に影響し合うメカニズムという疑問が提起される。

 意識だけでは世界に物理的変化を生じさせることはできない。だがおそらく量子プロセスが進行する際の確率を変化させることはできるだろう。2015年にコーネル大学の物理学者が証明したように、観察という行為は、原子の動きを止め、影響すら与えることができるのだ。

 これはまさに物質と精神の相互作用を説明するものかもしれない。

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精神と自己組織化システム

 意識という現象が、脳の物理構造のような自己組織化システムを必要とするということはありえる。そうであるならば、現在の機器は期待はずれに終わるだろう。

 学者らは、適応的自己組織化マシンを人間の脳と同じレベルで設計できるものか分かっていない。そうしたシステムに必要な計算理論がないのだ。

 生体マシンのみが創造的かつ柔軟と言って憚らないでいられるという主張は、おそらく正しいだろう。

 だが、それは意識を宿す、あるいはそうなることが可能な新しい生体構造の作成に取り組むべきであるということを示唆している。そしていずれは実際にそうすることだろう。

via:theconversation / rawstoryなど/ translated by hiroching / edited by parumo
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