人工知能の開発が難しい要因?モラベックのパラドックス。

75b7890a-56ff58bac25e7e0effaa47fcf428d31e5c91df49

「モラベックのパラドックス」とは、1980年代にオーストリア人のロボット工学の教授ハンス・モラベックを中心として明確にされた、人工知能(AI)の開発・研究におけるパラドックスのことである。その内容とは、「人工知能の開発においては、人間にとって高度な知能テストをコンピュータに通過させることは比較的容易なことであり、逆に一歳児の子供が身につけているような、知覚・判断・運動などの能力をコンピュータに組み込むことの方が、技術的には困難である」というものである。1950年代後半、当時は「約10年から20年後には、人工知能が開発されるのではないか」という楽観的な予測が行われていたが、現在でも人工知能は開発されておらず、このパラドックスの存在がその大きな要因の一つともされている。

スポンサーリンク

「モラベックのパラドックス」とは?

「モラベックのパラドックス」とは、人工知能(AI)の開発・研究における、「人間にとっては直感的に困難と思える機能が、人工知能には容易なことであり、逆に人間にとっては直感的に容易と思える機能が、人工知能には困難である」というパラドックスのことである。このパラドックスは、1980年代にアメリカ合衆国のカーネギーメロン大学が設置する、ロボット工学研究所の教授ハンス・モラベックを中心として、MITコンピュータ科学・人工知能研究所の所長ロドニー・ブルックス、MIT人工知能研究所の創設者の一人であるマービン・ミンスキーによって明確なものにされた。

その具体的な内容とは、「人工知能の開発においては、例えば一億桁もの複雑な数学の問題を解いたり、チェスの世界チャンピオンから勝利するなど、人間にとって高度な知能テストをコンピュータに通過させることは比較的容易なことであり、逆に一歳児の子供が身につけているような、知覚・判断・運動などの能力をコンピュータに組み込むことの方が、技術的には困難である。それは何十億年もの生物の進化の過程において、人間の脳内にある感覚と運動を司る部分が、我々が考えている以上に高度に発達しているためである」というものである。

人工知能の開発・研究が本格的に開始されたのは、1950年代後半のことであり、その当時は「約10年から20年後には、成人の人間と同等、あるいはそれ以上の知能を持つ高度な人工知能が開発されるのではないか」という楽観的な予測が行われていた。しかし、現在でも完全に人工知能と呼べるような機能を持ったコンピュータなどは開発されておらず、このパラドックスの存在がその大きな要因の一つともされている。

ハンス・モラベックによる主張

201603130102

この「モラベックのパラドックス」における、ハンス・モラベックによる主張は下記の通りである。

人間の脳内にある感覚と運動を司る部分は、自然界における何十億年もの長い年月の中で人間が進化を繰り返したことにより、我々が考えている以上に高度に発達していると思われる。そのため、我々が「推論」と呼んでいる意識的なプロセスは、普段は意識することもない運動的な感覚によって得られる知識がなければ、ただの薄っぺらいベニヤ板のようなものに過ぎない。

つまり、運動的な感覚が必要となる領域において、我々は「オリュンポス十二神」のように巨大な存在であり、どんなに難しいことでも容易に行うことが可能なのである。しかし、我々にとって抽象的な思考とは、まだ未知の存在であり、恐らく、ここ約10万年ほどの短い年月の中で発展したものである。

そのため、まだ我々の脳と身体はそれらを思い通りに行うためには十分に発達してはいないが、それらは本質的には決して難しいことではない。現在の我々がそれらを実行しようとした時には、ただ難しく思えているだけなのである。

人間が身につけている能力

201603130103

この「モラベックのパラドックス」における、ハンス・モラベックによる主張をまとめると下記の通りとなる。

  • 人間が持っている高い能力は、とても長い年月の中で培われてきたものであり、我々はそれらの能力の構造を分析・解析することがとても困難なことであることを認識する必要がある
  • 人間の脳内にある感覚と運動を司る部分は、我々が無意識のうちに働いていることが多く、一見するとそれらの高い能力は、とても容易なことのように思える
  • 結果的には、一見すると容易に思える能力ほど、その構造を分析・解析することが困難なことであり、逆に困難に思える能力については、その構造を分析・解析することが容易なことであるのかもしれない

また何十億年もの生物の進化の過程において、人間が身につけたとされる能力としては、「顔を認識する能力」、「声を識別する能力」、「物体の軌道を予測する能力」、「判断と動機を関連付ける能力」、「社交的に振る舞う能力」など、視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚を活用する能力が多い。

逆に人間が困難だと考えている能力としては、ここ数千年もの短い年月の中で文明の発達に伴って発展した、科学や論理、娯楽に関するものなどである。人間の脳と身体が、そのような能力を身に付けるように適応するには、さらなる長い年月が必要になるものと考えられる。

関連動画

管理人から一言

早く、ドラえもんを作って、安く販売してほしいです…。
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

話題のニュース

  1. 登録されている記事はございません。
ページ上部へ戻る