古代生物「タリーモンスター(トゥリモンストゥルム)」は脊椎動物だった。その謎が徐々に明らかに

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 イカのような体に目を生やし、細長い腕のような吻の先に歯が並んだ生物。こんな奇妙なクリーチャーが発見され、学会を騒がせたのは約60年前のことだ。それから数十年の月日を経て、英語では、タリーモンスターの名で呼ばれる、「トゥリモンストゥルム(Tullimonstrum gregarium)」の正体が、実はヤツメウナギの近縁の肉食脊椎動物であることが判明した。

 タリーモンスターはおよそ3億700万年前に、アメリカ、イリノイ州グランディ郡沿岸の泥だらけの浅瀬を徘徊していたものと考えられている。

 タリーモンスターは、アマチュアの化石収集家であり、配管工のフランシス・タリー氏によって1958年(文献によっては1955年とも言われている)に偶然発見された。イリノイ州グランディ郡にある炭鉱のメゾンクリーク層から採掘した硬い岩を調べていたところ、中に大量のタリーモンスターの化石が潜んでいたのだ。

 ターリーが発見したことから、トゥリモンストゥルム(Tullimonstrum gregarium)と名付けられた。これは「ターリーの怪物」を意味する。発音は英語式に読めば「タリモンストラム」、「タリモンストルム」で、英語流に言えば「タリーモンスター」である。ここではタリーモンスターとして統一した。
 
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タリーモンスター(トゥリモンストゥルム)の想像図

タリーモンスターは脊椎動物だった

 軟体動物であれば無脊椎動物だが、最新の研究によって、タリーモンスターには体とエラを支えるしっかりとした軟骨があったことが判明した。つまり原始的な魚類と同じような脊椎動物だったのだ。

 研究を行ったのは、イギリス、レスター大学の古生物学者ビクトリア・マッコイ博士(研究当時はアメリカ、イェール大学)で、そのミステリアスなところに惹きつけられたのだそうだ。

 「風変わりな化石から、その姿についてははっきり分かっていましたが、正体はわかりませんでした。現生する近縁種とはあまりにも異なっているため、生態についてはほとんど不明です。大きな目があり、歯がずらりと並んでいることから、おそらくは肉食ではないかと思います」とマッコイ博士。

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タリーモンスターの化石、全長は約10cm程度
 マッコイ博士らが調査したのは、フィールド自然史博物館が所蔵する2,000点もの化石である。シンクロトロン元素マッピングという手法を用い、化石の化学的性質をマッピングすることで、その体の特徴を調べた。その結果、それまで発見されていなかった脊索という原始的な脊髄とエラの存在が明らかとなった。

 また、タリーモンスターの歯が、ヤツメウナギの歯やヒトの爪と同じようにケラチンでできていた可能性が高いことも分かった。胴体部分に並んだ三日月型の穴は、現代のヤツメウナギの鼻孔にあたるもので、匂いをかげたと考えられる。いくつかの化石では脳の輪郭がうっすら見えていることも分かった。

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現在のヤツメウナギ 

まだまだ謎は残されたまま

 研究に携わったイェール大学ピーボディ自然史博物館の無脊椎古生物学者デリク・ブリッグズ教授によれば、現段階ではまだその全貌はつかめていないという。化石の解釈は容易ではなく、中には泳ぐ軟体動物という説もあるらしい。

 今回、脊椎動物であることが判明したが、謎は数多く残されている。トゥリモンストゥルムの化石は他の場所からは一切発見されておらず、いつ地球に出現したのかも明らかではない。泥だらけの浅瀬に生息していたと考えられており、死骸に堆積物が積もり、やがて硬い岩の中に閉じ込められたものが化石となった。

via:Theguardiandailymailtheatlanticなど・translated hiroching

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